ゆりねの呪縛から開放され、自らも御座となった廻向の次なる目的は、新宿という街そのものの改造にあった。
鵺とその弟の体に密かに組み込まれていた、ある仕掛け───鵺兄弟がふたたびまみえることでその仕掛けが発動し、新宿の街に突如、出現した機械根。それは人間を次々に襲いはじめる。
それは御座となった廻向の体を支えるための、エネルギーチャージャー、巨大な御座玉だった。
外界から新宿を遮断し、街そのものを巨大な御座へと変貌させようとする廻向。
それは世界への宣戦布告なのか?
このまま人間が死に絶えてしまえば、生身の妖怪たちにも生き残る道はない。
もはやこの街に抵抗しうる鴉とゆりねは存在しない。
混乱の中、娘を守るために御座へ変貌した署長の手にかかり死んでゆく鷺坂。
多くの犠牲者を前にして、どうすることもできない乙羽。
身も心も切り裂かれ、薄れてゆく意識。
しかし、「街を守りたい」という思いが頂点に達した時、乙羽の体が光を放ち、その体内から新しいゆりねが誕生する。