夜空を舞う2翼の<鴉>。
それらはやがて人型へと姿を変え、剣を交わらせる。
<街>を守護する唯一の存在である<鴉>。
しかし一人しか存在しないはずの<鴉>が、なぜ?
そして、3年後。
新宿で頻発する<吸血鬼の仕業であるかのような>謎の殺人事件。この街では、こういった事件が数多く発生しているのだった。
<人知を超えた現象・存在からの干渉と思われる>事件を専門に捜査するために設けられた干渉事件対策課へ配属となった一人の青年、呉鳴海。
古い馴染みに借りを返すため、諸国を放浪していた奇妙な風来坊、鵺。
そして、<街の意思を代行するもの:ゆりね>によって目覚めさせられた一人の青年。彼は、その少女によって乙羽と名づけられた。
呼応するかのように新宿に現れた、三人の青年たち。そして、物語が動き始める。
芸能界を目指して上京し、芸能界でリポーターとして働き始めた少女、ヒナル。連続する猟奇事件の取材中に、彼女を除く仲間たちは、河童の餌食となってしまう。3年前のベイブリッジ崩壊事故の時と同じく、彼女は再び生きながらえた。
ただひとり妖怪の存在を肯定し、捜査に奔走する中年刑事、鷺坂実と、その唯一の後援者、新宿署署長。
そして、この街を守護する<鴉>であった男、鳳春院廻向と人に姿を変え、彼に尽くさんとする機械化妖怪・御座(みくら)衆。
そしてただ一人、<ゆりねを見る>少女…。
彼らが望む未来、選ぶ道、それらはどこへと向かうのだろうか。
新たに誕生した<鴉>の刃が、河童を両断したとき、東京はまたひとつ自由を失うのだった。
水を求めてひねられた蛇口から迸るものは、紛れも無い砂の奔流…。
すべては、ただ街の意思の為せる業だというのだろうか。